
システムインテグレーターの 富士ソフト 株式会社。
本エントリは富士ソフト株式会社の以下の4点を調べる企業研究レポートだ。
- どんなお仕事をしているのか【事業の紹介をする】
- そのお仕事は儲かるのか【財務データをもとに収益性、成長性、安全性、効率性をみる】
- 従業員の給料はどのような水準なのか【平均勤続年数と平均年収の推移をみる】
- 今後どのような方向性でお仕事していくのかを調べる【決算説明会資料から今後の展望をみる】
本エントリでは、2. 「富士ソフトお仕事は儲かるのか」を明らかにする。
転職を考えている若手サラリーマンや新卒入社を考えている学生様の参考になれば幸いだ。
目次
【企業研究ステップ2】そのお仕事は儲かるのか【財務データをもとに収益性、成長性、安全性、効率性、キャッシュフローをみる】
本エントリでは、富士ソフトのお仕事は儲かっているのかを調べていく。
具体的には次のような5つの質問に答えていく。
- 富士ソフトのお仕事はどれくらい儲かるものなのか。
- 富士ソフトは成長しているのか。
- 富士ソフトの財務基盤はしっかりしているのか。
- 富士ソフトは効率的にお仕事できているのか。
- 富士ソフトはしっかりお金を持っているのか。
と、その前に、まず富士ソフトの規模を確かめておく。
下図は富士ソフトの売上高、売上総利益、営業利益、事業利益の推移図だ。
※事業利益=営業利益+営業外収益
図表からわかる通り、2018年12月期の富士ソフトの売上高は約2,043億円だ。
それでは、この約2,043億円規模のビジネスがどんな感じなのかを調べていく。
富士ソフトの収益性【富士ソフトのお仕事はどれくらい儲かるものなのか】
ここでは富士ソフトの収益性、つまり「稼ぐ力」を見ていく。
良い企業は収益性が高い。
収益性の数値が低かった場合、まずはこの数値を上げることから始めなければならない。
売上総利益率
2018年12月期の売上総利益率は23.26%だ。
情報通信産業に属する企業としてはやや低い数値だ。
売上高営業利益率
2018年12月期の売上高営業利益率は5.58%だ。
売上総利益率と同様、やや低い数値だといえる。
ビジネス構造が高コスト化していると考えられる。
富士ソフトのお仕事はどれくらい儲かるものなのか?
答え:あまり儲からない。
営業利益率は5.58%なので、100万円の案件で利益になるのが5万5,800円。
個人に置き換えてみると、肌感覚的には、額面で年500万円稼いでいるのに、一年の貯金額が27万9,000円みたいなものだ。
富士ソフトの成長性【富士ソフトは成長しているのか】
富士ソフトの成長率をみていく。
変化の激しい時代では、成長がない企業・成長が停滞している企業とは一括りに衰退している企業といえる。
成長率
2018年12月期の売上高成長率は13.03%。
2018年12月期の売上総利益成長率は12.96%。
2018年12月期の営業利益成長率は17.44%。
3つとも良い数値だ。
富士ソフトは成長しているのか?
答え:成長している。
富士ソフトの2018年12月期売上高成長率13.03%を個人に置き換えてみると、昇給率が13.03%だ。
一般的な企業ではトップ水準の昇給率だろう。
富士ソフトの安全性【富士ソフトの財務基盤はしっかりしているのか】
ここでは富士ソフトの企業としての安全性を調べていく。
要するに、倒産する可能性はあるのかを見ていく。
インタレスト・カバレッジ・レシオ
インタレスト・カバレッジ・レシオとは、事業利益が支払利息の何倍なのかを示している数値だ。
※インタレスト・カバレッジ・レシオ=事業利益/支払利息
2018年12月期のインタレスト・カバレッジ・レシオは178.26倍だ。
利息を払えなくて困る、という状況にはならないと考えられる。
自己資本比率
2018年12月期の自己資本比率は57.42%。
望ましいとされる理論値は30%から40%だ。
したがって、富士ソフトの自己資本比率は安全水準だ。
固定長期適合率
2018年12月期の固定長期適合率は83.59%。
望ましいとされる理論値は100%以下だ。
したがって、富士ソフトの固定長期適合率は安全水準だ。
流動比率
2018年12月期の流動比率は161.81%。
望ましいとされる理論値は100%以上だ。
したがって、富士ソフトの流動比率は安全水準だ。
当座比率
2018年12月期の当座比率は135.57%だ。
優良とされる理論値は120%以上だ。
したがって、富士ソフトの当座比率は優良水準だ。
富士ソフトの財務基盤はしっかりしているのか?
答え:しっかりしている。
「数年以内に倒産の危機」みたいなことにはならない水準だ。
富士ソフトの各安全性指標も、望ましいと言われる理論値をすべて上回っている。
富士ソフトの効率性【富士ソフトは効率的にお仕事できているのか】
ここでは富士ソフトの事業が効率的に展開されているのかを調べる。
ROA
ROA(return of asset)とは、総資産の運用効率を表す指標だ。
※ROA=事業利益/総資産
※事業利益=営業利益+営業外収益
2018年12月期のROAは6.33%だ。
日本企業の場合、ROAが5%を超えると優良企業とされる。
しかし、情報通信産業に属する企業としては低いレベルだ。
ROAを分解してみよう。
ROAの内訳【売上高事業利益率と総資本回転率】
ROAは売上高事業利益率と総資本回転率から構成されている。
※ROA=売上高事業利益率*総資本回転率
売上高事業利益率は6.02%だ。
※売上高事業利益率=事業利益/売上高
2018年12月期の総資本回転率は105.17%だ。
両数値の推移をみる限りだと、事業の収益性はやや低下している一方で、資産の運用効率が上がっている。
固定資産回転率
2018年12月期の固定資産回転率は178.76%だ。
富士ソフトを製造業として見ても、この数値は良くない。
富士ソフトの固定資産の運用効率は悪い。
この数値から富士ソフトのビジネス構造の課題、すなわち高原価率構造が見えてくる。
売上債権および買入債務の回転期間
2018年12月期の売上債権回転期間は約79日、買入債務回転期間は約25日だ。差は54日。
受注した案件の代金は2ヵ月半弱で富士ソフトに支払われる一方で、案件のために使ったお金は1か月弱で支払っている。
つまり、差分の約54日間を仕事しているがそのお金は入ってきていない状態で過ごしている。
現状は問題無いようだが、将来的に資金繰りが厳しくなることも想定される。
手元流動性比率
2018年12月期の手元流動性比率は1.32倍だ。
※手元流動性比率=現金及び預金/(売上高/12)
富士ソフトは1か月分強に相当する現金及び預金を保有している。
非常に効率的にお金を運用している。
富士ソフトは効率的にお仕事できているのか?
答え:日本全体で見たら効率的な方だが、業界内で見たら非効率だ。
小売店の店長だったらExcel超できる人扱いされるが、金融機関に勤めていたらExcelまったくできない人扱いされるような感じだろう。
富士ソフトのキャッシュフロー【富士ソフトはしっかりお金を持っているのか】
富士ソフトのキャッシュフローをみてみよう。
会計上、稼いだとされるお金が、実際どれくらい富士ソフトにわたっているのかを確認できる。
キャッシュフロー
2018年12月期の営業活動によるCFはプラス、投資活動によるCFはマイナス、財務活動によるCFはプラス。
フリーCFはマイナスだ。
事業は順調で、かつ投資を積極的に行っている企業によくみられる状態だ。
富士ソフトのビジネスは順調だ。そしてビジネスから稼いだキャッシュをしっかりと投資に回せている。
富士ソフトはしっかりお金を持っているのか
答え:お金はしっかり持っている。
なんだかんだで常に手元にはお金がある状態だ。
サラリーマンでいえば、口ではいつも「金がない」と言っているが、銀行口座には常に家賃3か月分の預金があるし、月末のクレカの引き落としも全く問題ないし、自己投資として習い事や書籍等も買える状態だ。
総まとめ
Q. 富士ソフトのお仕事はどれくらい儲かるものなのか。
A. あまり儲からない。
Q. 富士ソフトは成長しているのか。
A. 成長している。
Q. 富士ソフトの財務基盤はしっかりしているのか。
A. しっかりしている。
Q. 富士ソフトは効率的にお仕事できているのか。
A. 日本全体で見たら効率的な方だが、業界内で見たら非効率。
Q. 富士ソフトはしっかりお金を持っているのか。
A. お金はしっかり持っている。