
株式会社日立製作所(以下: 日立製作所)は日本を代表する総合電機メーカーだ。
この記事では株式会社日立製作所の財務データをもとに企業研究を行う。
目次
【3 steps 企業研究】5分でわかる株式会社日立製作所
株式会社日立製作所(以下: 日立製作所)は日本を代表する総合電機メーカーだ。
展開している事業は上図の通りだ。
【Step 1】損益計算書から日立製作所の収益性をみる
損益計算書の数字から日立製作所の収益性を見てみよう。
売上収益規模は縮小している。
売上総利益は横ばい。
営業利益は増加している。
前年比成長率は上図の通りだ。
2017年3月期に規模を若干縮小してから、営業利益重視の成長を遂げている。
2019年3月期の売上総利益率は26.54%。
事業としては良い数値だ。
2019年3月期の売上高営業利益率は7.96%。
やや物足りない数値だ。
過去5年の推移からは収益性は向上している。
しかし、現状の数値からみて、日立製作所の稼ぐ力は強いとは言い難い。
【Step 2】貸借対照表から日立製作所の安全性をみる
次は貸借対照表の数字から安全性を見ていく。
直近の株主資本比率は33.89%。
一般的に30%から40%が望ましい水準だ。
したがって日立製作所の株主資本比率の安全水準だ。
2015年3月期と2016年3月期には20%台だったが、この3年で安全水準まで改善された。
直近の固定長期適合率は94.28%。
固定長期適合率は100%以下が望ましいと言われる。
したがって固定長期適合率も安全水準だ。
株主資本比率と同様に、この3年で安全水準まで改善された。
直近の流動比率は139.67%だ。
流動比率は100%以上が望ましい水準だ。
したがって流動比率も安全水準だ。
日立製作所の安全性指標はここ3年での改善により、すべて安全水準にある。
財務基盤を意識した経営がみられる。
【Step 3】キャッシュフロー計算書から日立製作所のお金事情をみる
直近のキャッシュ・フロー(以下: CF)の数値を見てみよう。
営業活動によるCFはプラス、投資活動によるCFはマイナス、財務活動によるCFはマイナスだ。
フリーCFはプラスだ。
非常に健全なCFだ。
2015年3月期にはマイナスだったフリーCFは、この4年間で徐々に増加しプラスを維持している。
また、この4年間のCFは健全な状態で推移している。
すなわち、営業活動で稼いだキャッシュを投資、配当金、借入の返済に回せている。
キャッシュフロー経営をしっかりと実現している。
まとめ
日立製作所は企業改革を成功させた。
財務状況の安全性を高め、キャッシュフローを意識した経営へと変身した。
つまり企業価値向上に注力した経営を実践している。
残る課題は事業の収益性向上だ。
日立製作所は営利企業である一方、大企業としての社会的役割を多大に担っている。
収益性を上げるうえで、効率性向上のための事業撤退と担っている社会的役割のバランスをどのように保つかがポイントとなるだろう。
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