
企業研究レポート 伊藤忠商事 株式会社編
明日の伊藤忠の面接、何話したら良いかわからない。
伊藤忠の企業分析、何から始めたら良いかわからない。
このレポートでは、損益計算書(以下P/L)、貸借対照表(以下B/S)、キャッシュフロー計算書(以下C/F)の数字を見ながら、伊藤忠商事株式会社を分析する。
目次
伊藤忠商事の企業分析|数字が示す華やかなイメージの実態
伊藤忠商事株式会社は、日本の総合商社だ。
展開している事業について以下の動画で語られている。
本記事では、P/L、B/S、C/Fから伊藤忠商事株式会社をサクッと紹介する。
P/Lから読み解く伊藤忠商事|巨額な資金が動いていることは確かだった
P/Lから稼ぐ力を見てみる。
収益、売上総利益、営業利益全てが莫大な金額だけど…
2019年3月期の収益は11兆円を超えている。
途方もない莫大な金額だ。
他方で、収益から原価を引いた売上総利益は1兆5千万円超。
さらに、売上総利益から販売及び一般管理費を引いた営業利益は約3704億円。
収益、売上総利益、営業利益の全てが巨額であることは間違いない。
しかし、比率で考えると物足りない。
売上総利益率と売上高営業利益率は低下している
2019年3月期の売上総利益率と売上高営業利益率ともに低下している。
売上総利益率13.48%と売上高営業利益率3.19%は「儲かっている!」とは言えない数字だ。
B/Sから読み解く伊藤忠商事|自己資本比率は若干危ういが、その他の安全性指標はクリアしている
さて、次はB/Sの数字から伊藤忠商事の企業としての安全性を見てみる。
まずはB/Sの主要な数字を確認
こちらも金額が大きすぎてイメージが付きにくい。
それでは各数字を使って伊藤忠商事の安全性を見ていこう。
自己資本比率
自己資本比率とは総資本に対する自己資本の比率
ここでの自己資本比率は、以下の計算式で算出する。
自己資本比率=株主資本合計/(資本+流動負債+非流動負債)
諸説あるが30%から40%が安全である目安だ。
したがって、直近の自己資本比率29.08%は理論値より低い。
流動比率
流動比率とは、流動負債に対する流動資産の比率。企業の一年以内の債務返済能力を測る指標
ここでの流動比率は、以下の計算式で算出する。
流動比率=流動資産/流動負債*100
流動比率は100%以上が望ましい。
したがって直近の131.92%は安全水準だ。
固定長期適合率
固定長期適合率とは、返済を必要としない資金に対する固定資産に使われている資金の比率。企業の一年以上の債務状態を測る指標
ここでの固定長期適合率は、以下の計算式で算出する。
固定長期適合率=非流動資産/(資本+非流動負債)
固定長期適合率は100%以下が望ましい。
したがって直近の84.22%は安全水準だ。
C/Fから読み解く伊藤忠商事|文字通りお金持ちです
営業キャッシュフローとは、企業が営業活動で生み出したお金
投資キャッシュフローとは、企業が投資に使ったお金、もしくは投資で得たお金の合計
財務キャッシュフローとは、企業が金融機関から借入した、あるいは返済したお金の合計
フリーキャッシュフローとは、企業が自由に使えるお金
ここではフリーキャッシュフローを以下の計算式で算出する。
なおフリーキャッシュフローの算出方法は分析の目的によって差異がある。
フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー
一般的に、営業C/Fプラス、投資C/Fマイナス、財務C/Fマイナス、フリーC/Fプラスが健全な状態だ。
直近の伊藤忠商事のC/Fは、営業C/Fプラス、投資C/Fプラス、財務C/Fマイナス、フリーC/Fプラスだ。
投資C/Fについて2019年3月期の決算説明会資料では実質的にはマイナス200億円だと説明されている。
資料上の説明と過去の実績からみて、C/Fは健全だ。
まとめ
大きなビジネスができると言われる総合商社。
本当に莫大な資金が動いていることが分かる。
しかし、売上総利益率や売上高営業利益率は低い数字だった。
本記事では、財務データから読み解いてみた。
各項目でより深く見ていくことで、皆様特有の問題意識や課題の発見ができる。
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この記事を機に読者の皆様自身の視点を得られたら幸いだ。
伊藤忠商事株式会社について調べたい人向け
伊藤忠商事株式会社平成28年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
伊藤忠商事株式会社平成29年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
伊藤忠商事株式会社平成30年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
伊藤忠商事株式会社2019年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)