
【景気総合指数、景気循環】アメリカ経済を分析する方法【ステップ1】
アメリカ経済の動向や先行きを正確に分析することのメリット
- アメリカの金利や株価の予測に役立つ
- 為替や、各国の金利の予測に役立つ
世界各国の市場が大きく動くとき、アメリカの経済指標の発表がきっかけになっていることが多い。
【ステップ1】今、どういう状況なのかを把握する
アメリカの景気動向を中長期的に把握するには、景気循環において、現在がどういう局面なのかを見極める必要がある。
NBER(民間の経済研機関)が景気循環日付を公表している。
https://www.nber.org/cycles/cyclesmain.html
リセッションの定義
リセッションとは、景気後退を指す。
リセッションには定義が2つある。
1つはNBERの景気循環日付をもとにしたもので、「NBERが決定した景気のピーク(Peak)からトラフ(Trough, 訳: 谷)までの期間」である。
2つ目は、「実質GDPが2四半期連続して減少すること」をリセッションと定義している。
通常ニュースでリセッションを使うときは2つ目の定義で使用される。
景気総合指数
景気の方向性を正しく認識するには、様々な経済指標を分析する必要がある。
しかし、現実の世界では経済指標がそろって一定の方向を示すことのほうがまれである。
総合的な判断には、つねに困難が伴う。
こうした事情を背景に考案されたのが、景気総合指数である。
景気総合指数には、先行指数、一致指数、遅行指数の3種類がある。
それぞれに先行、一致、遅行して動くように作られている。
各指数を構成している経済・金融指標は、次の通りである。
先行指標
- 週平均労働時間(製造業)
ウェイト27.3% 単位:時間 - 週平均失業保険申請件数
ウェイト3.3% 単位:千件 - 消費財新規受注
ウェイト8.4% 単位:1982年基準の実質、百万ドル - ISM新規受注指数
ウェイト16.0% 単位:% - 非国防資本財(除航空機)新規受注
ウェイト4.1% 単位:1982年基準の実質、百万ドル - 新規住宅着工許可件数
ウェイト3.1% 単位:千戸 - 株価(S&P500種)
ウェイト3.9% 単位:1941~1943年=10とする指数 - 先行信用指数
ウェイト8.3% 単位:コンファランス・ボード開発の指数 - 金利スプレッド(10年国債-FFレート)
ウェイト11.1% 単位:%ポイント - 消費者期待指数(ミシガン大学)
ウェイト14.6% 単位:1966年第1四半期=100
一致指標
- 非農業就業者数
ウェイト52.8% 単位:千人 - 個人所得(移転所得を除く)
ウェイト20.5% 単位:2009年基準の実質、年率、10億ドル - 鉱工業生産指数
ウェイト14.7% 単位:2007年=100とする指数 - 製造業及び商業販売額
ウェイト12.1% 単位:2009年基準の実質、百万ドル
遅行指標
- 平均失業期間
ウェイト3.7% 単位:週 - 対売上高在庫比率(製造業及び商業)
ウェイト12.6% 単位:2009年基準の実質、比率 - 単位労働コスト(製造業)
ウェイト5.0% 単位:年率換算、%(6か月) - プライムレート(原系列)
ウェイト29.6% 単位:% - 商工業貸付残高
ウェイト9.7% 単位:2009年基準の実質、百万ドル - 消費者信用対個人所得比率
ウェイト18.9% 単位:% - 消費者物価指数(サービス)
ウェイト20.5% 単位:年率換算、%(6か月)
景気総合指数の影響力
景気総合指数の発表結果がマーケットを大きく動かすことはほとんどない。
理由は、景気総合指数は他の発表済みの指標を合成して作られているため、予想外の数字になることはめったにないからだ。
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