金融・投資・証券分析用語辞典

仕組債 (しくみさい)

仕組債 (structured bond)とは、デリバティブなどを組み込んだ債券のことです。

仕組債の例として、

  • 株価指数連動債: 償還金額が株価指数値に連動して変動する債券
  • デュアルカレンシー債: クーポンと満期償還金で支払われる通貨が異なる債券
  • クレジット連動債: 償還金額が特定の参照組織の信用状況に連動する債券
  • パワー・リバース・デュアルカレンシー債: 償還金は円固定金額で、クーポン支払額がその時点の為替レートに連動して毎回大きく変動する債券

などが挙げられます。

さらに、特定の条件が発生した場合に期限前に強制償還される、トリガー償還条項付きの仕組債もみられます。

上記のような仕組債は、特定の投資ニーズを持つ投資家向けにカスタムメイドで発行されていることも多いです。

より広義的な意味で、既発の転換社債などを組み替えたリパッケージ債や、資産担保証券などの債券も含めることがあります。

デリバティブ

トランシェ

イールドカーブ

イールドカーブ (yield curve)とは、デフォルトリスクと発行通貨が等しく、満期だけが異なる債券のスポットレートや最終利回りを縦軸に、残存年数を横軸にとってプロットした点を、スムーズな曲線で結んだものです。

利回り曲線あるいは金利の期間構造ともいいます。

縦軸に、各年限の代表的な銘柄の最終利回りや、パーイールドを取ったものを指す場合もあります。

イールドカーブのスティーブ化・フラット化

イールドカーブの形状は、様々な要因に基づき、時間の経過とともに動的に変化することが知られています。

例えば、将来の金利上昇が予想されれば、イールドカーブが右上がりとなり、曲線の傾きが急になります。

曲線の傾きが急になることを、スティーブ化といいます。

反対に、将来の金利低下が予想されれば、イールドカーブの傾きは緩やかになります。

曲線の傾きが緩やかになることを、フラット化といいます。

将来の金利が大幅に低下すると予想されれば、イールドカーブは右下がりになる場合もあります。

イールド戦略

需給の関係などで、特定の残存期間のスポットレートが高かったり、低かったりすることもあります。

中期債のみのレートが高い状態を、こぶ型といいます。

このようなイールドカーブの形状の特徴や将来の形状変化を予測して、リターンを獲得しようとする戦略を、イールド戦略といいます。

金利の期間構造

金利の期間構造 (term structure of interest rates)とは、ある時点での金融資産の利回りと残存期間との間の構造的な関係を示したものです。

一般的にデフォルトリスクが同じ程度の債券なら、利回りと残存期間には一定の関係があるとされます。

この関係は、縦軸に金利、横軸に残存期間を取った平面上に両者の関係を示した利回り曲線で示されます。

利回り曲線は、イールドカーブとも呼びます。

イールドカーブの形状

右上がり = 順イールドカーブ

通常は、イールドカーブは、右上がりになる傾向があります。

右上がりとはつまり、残存期間が長くなるほど、利回りが高くなることです。

このような右上がりのイールドカーブを、順イールドカーブと呼びます。

右下がり = 逆イールドカーブ

一方で、金利の先行きに対する期待によって、右下がりの局面も見られる場合があります。

右下がりとはつまり、残存期間が長くなるほど利回りが低くなることです。

このような右下がりのイールドカーブを、逆イールドカーブと呼びます。

金利の期間構造に関する伝統的な理論

金利の期間構造に関する伝統的な理論としては、次の3つがよく知られています。

  • 純粋期待仮説
  • 流動性プレミアム仮説
  • 市場分断仮説

純粋期待仮説とは

「市場で取引されている長期金利は、その残存期間に対応する将来の短期金利の予想値の積重ねに等しい」

という考え方を基にイールドカーブの形状を考える説です。

流動性プレミアム仮説とは

「投資家がリスク回避的な行動をとる中で、不確実性を保証するため残存期間が長くなるほど流動性プレミアムを要求する」

という考え方を基にイールドカーブの形状を考える説です。

市場分断仮説とは

「短期金利と長期金利はそれぞれの規制や投資家の異なった選好により、両社の代替性が高くない」

という考え方を基にイールドカーブの形状を考える説です。

金利の3ファクターモデル

金利の3ファクターモデル (three-factor interest rate model)とは、イールドカーブの形状もしくは変化を、金利の水準、傾き、曲率の3つの要因で説明しようとするモデルです。

  • 金利の水準を level
  • イールドカーブの傾きを slope
  • イールドカーブの曲率を curvature

といいます。

イールドカーブは、日本語だと、利回り曲線ともいいます。

金利の3ファクターモデルは、3ファクター金利金利構造モデルともいいます。

主成分分析と呼ばれる統計的な手法を用いて実際の債券市場における金利の期間構造を分析したところ、イールドカーブの変化は、

  • イールドカーブの水準の全体的な変化 (= パラレルシフト)
  • イールドカーブの水準の全体的な傾きの変化 (= ツイスト)
  • イールドカーブの水準の全体的な曲率の変化

によって説明できることが示されています。

金利パリティ

金利パリティ (interest rate parity)とは、以下の関係式のことです。

interest rate parity

interest rate parity

例えば、ドル円レートの金利バリティを算出する場合、

  • Sはドル円レートの直物レート
  • Fはドル円レートの先渡レート
  • rは日本国内金利
  • Rはアメリカ国内金利

となり、上記の関係式が成立します。

この関係式を、金利バリティといいます。

カバー付き金利パリティともよばれます。

例えば、現在のドル円レートが100年、日本国内の金利が1%、アメリカの金利が5%だった場合。

このとき、投資家にとっては、次の2つの選択肢があります。

  • 日本国内で運用して1%の利子を稼ぐ
  • 現在のドル円レートでアメリカドルに換えて、5%の利子を稼いで、将来の先渡レートで円転換を予約する

金利パリティは、どちらの方法で運用しても投資結果が変わらないようなFとSの均衡関係を表しています。

金利パリティが成立していない場合には、金利パリティが成立するまで、利鞘を稼ごうとする裁定取引が続くと想定されます。

金利リスク

金利リスク (interest rate risk)とは、価格が金利に影響される資産の場合、その金利変化に対する価格変動の大きさのことです。

債券の場合

債券の場合、金利が低下すると債券価格は上昇します。

価格変動の大きさは、

  • 金利の低下、あるいは上昇の大きさ
  • 満期までの期間の長さ
  • クーポンの大きさ

によって異なります。

ただし、債券を満期まで保有すれば、期中の金利変動の影響はありません。

なお、金利は、期間の長さにより異なるので、金利の期間構造でとらえる必要があります。

したがって、価格変化の大きさも期間構造の変化で評価する必要があります。

ハイ・ウォーター・マーク

ハイ・ウォーター・マーク (high-water mark)とは、資産運用会社に支払われる成功報酬の算出に使われる1つの基準です。

インセンティブフィーと呼ばれることもあります。

ハイ・ウォーター・マーク方式を採用している投資信託では、あらかじめ定められた期間でファンドの基準価格が過去最高値を上回った部分について、その上昇分に対してあらかじめ定められた比率の成功報酬が支払われます。

運用報酬

運用報酬 (management fee)とは、投資家から預かった資産を運用会社が運用することへの対価です。

日本語だと、運用手数料と呼ばれます。

運用会社は、専門家として委託を受けてファンド運用を行います。

運用報酬は、基本的には運用会社の専門性、ノウハウを駆使して運用が行われることに対して支払われるものです。

運用報酬には、情報インフラの活用や投資家向け運用報告書などの実務に係るコストも含まれていると考えられます。

運用報酬の決定方式は以下の2通りです。

  • 定率型: 委託した運用資産残高に対して一定比率で支払われる方式
  • 成功報酬型: 運用成果に連動して支払われる方式

また、成功報酬型の運用報酬の場合は、通常は低く設定された基準報酬と、

運用実績に応じて変動する成功報酬の2つから構成されています。

成功報酬型では、あらかじめ約束された基準に従い、運用実績が基準より良ければさらに報酬が上乗せされます。

しかし、基準を下回った場合には、低く設定された基準報酬のみとなります。

この報酬体系は、運用を委託する側からも委託された側からも、合理的な報酬体系と考えられます。

一方で、運用実績が基準を下回った状況では、運用者がリスクを過剰にとり、成功報酬の獲得を狙うなどのモラルハザードの発生も考えられます。

代表的な成功報酬型の体系として、ハイ・ウォーター・マーク方式があります。

運用スタイル

運用スタイル (management style)とは、投資の基本となる考え方や、方法論を表したものです。

投資スタイルとも言います。

運用スタイルには以下のようなものがあります。

  • パッシブ運用: 運用者の主観的判断が入らない運用方法
  • アクティブ運用:運用者の主観的判断に基づいて運用する方法
    • バリュー株運用: 割安株に特化した方法
    • グロース株運用: 成長株に特化した方法
    • 小型株運用: 小型株に特化した方法
  • ボトムアップ型運用: 個別企業の企業分析から銘柄選定を行う方法
  • トップダウン型運用: マクロの将来見通しからセクター選択、銘柄選定を行う方法
  • リサーチ型運用: 企業アナリストのリサーチを通じて銘柄選定を行う方法
  • クオンツ型運用: 定量分析を通じて銘柄選定を行う方法

運用スタイルを広義に解釈すると、実質的に投資戦略と同義語と解釈できます。

確定拠出

確定拠出 ( defined contribution)とは、国際会計基準では、個人別に勘定が設けられ、当該勘定に払い込まれた掛け金と運用による増減や費用支払いの結果に基づいて給付額が計算される制度です。

英語の頭文字をとって、DCと呼ばれることが多いです。

確定拠出の掛け金額は、それぞれの制度における掛け金額の定義にもとづいて、決定または変更できる場合があるので、必ずしも事前に確定するものではありません。

確定拠出では、長生きリスクや積立金の運用リスクなどについて、雇用主である企業が追加的な掛金負担の制度的な義務を負わないという特徴があります。