金融・投資・証券分析用語辞典-カ行

金利の期間構造

金利の期間構造 (term structure of interest rates)とは、ある時点での金融資産の利回りと残存期間との間の構造的な関係を示したものです。

一般的にデフォルトリスクが同じ程度の債券なら、利回りと残存期間には一定の関係があるとされます。

この関係は、縦軸に金利、横軸に残存期間を取った平面上に両者の関係を示した利回り曲線で示されます。

利回り曲線は、イールドカーブとも呼びます。

イールドカーブの形状

右上がり = 順イールドカーブ

通常は、イールドカーブは、右上がりになる傾向があります。

右上がりとはつまり、残存期間が長くなるほど、利回りが高くなることです。

このような右上がりのイールドカーブを、順イールドカーブと呼びます。

右下がり = 逆イールドカーブ

一方で、金利の先行きに対する期待によって、右下がりの局面も見られる場合があります。

右下がりとはつまり、残存期間が長くなるほど利回りが低くなることです。

このような右下がりのイールドカーブを、逆イールドカーブと呼びます。

金利の期間構造に関する伝統的な理論

金利の期間構造に関する伝統的な理論としては、次の3つがよく知られています。

  • 純粋期待仮説
  • 流動性プレミアム仮説
  • 市場分断仮説

純粋期待仮説とは

「市場で取引されている長期金利は、その残存期間に対応する将来の短期金利の予想値の積重ねに等しい」

という考え方を基にイールドカーブの形状を考える説です。

流動性プレミアム仮説とは

「投資家がリスク回避的な行動をとる中で、不確実性を保証するため残存期間が長くなるほど流動性プレミアムを要求する」

という考え方を基にイールドカーブの形状を考える説です。

市場分断仮説とは

「短期金利と長期金利はそれぞれの規制や投資家の異なった選好により、両社の代替性が高くない」

という考え方を基にイールドカーブの形状を考える説です。

金利の3ファクターモデル

金利の3ファクターモデル (three-factor interest rate model)とは、イールドカーブの形状もしくは変化を、金利の水準、傾き、曲率の3つの要因で説明しようとするモデルです。

  • 金利の水準を level
  • イールドカーブの傾きを slope
  • イールドカーブの曲率を curvature

といいます。

イールドカーブは、日本語だと、利回り曲線ともいいます。

金利の3ファクターモデルは、3ファクター金利金利構造モデルともいいます。

主成分分析と呼ばれる統計的な手法を用いて実際の債券市場における金利の期間構造を分析したところ、イールドカーブの変化は、

  • イールドカーブの水準の全体的な変化 (= パラレルシフト)
  • イールドカーブの水準の全体的な傾きの変化 (= ツイスト)
  • イールドカーブの水準の全体的な曲率の変化

によって説明できることが示されています。

金利パリティ

金利パリティ (interest rate parity)とは、以下の関係式のことです。

interest rate parity

interest rate parity

例えば、ドル円レートの金利バリティを算出する場合、

  • Sはドル円レートの直物レート
  • Fはドル円レートの先渡レート
  • rは日本国内金利
  • Rはアメリカ国内金利

となり、上記の関係式が成立します。

この関係式を、金利バリティといいます。

カバー付き金利パリティともよばれます。

例えば、現在のドル円レートが100年、日本国内の金利が1%、アメリカの金利が5%だった場合。

このとき、投資家にとっては、次の2つの選択肢があります。

  • 日本国内で運用して1%の利子を稼ぐ
  • 現在のドル円レートでアメリカドルに換えて、5%の利子を稼いで、将来の先渡レートで円転換を予約する

金利パリティは、どちらの方法で運用しても投資結果が変わらないようなFとSの均衡関係を表しています。

金利パリティが成立していない場合には、金利パリティが成立するまで、利鞘を稼ごうとする裁定取引が続くと想定されます。

金利リスク

金利リスク (interest rate risk)とは、価格が金利に影響される資産の場合、その金利変化に対する価格変動の大きさのことです。

債券の場合

債券の場合、金利が低下すると債券価格は上昇します。

価格変動の大きさは、

  • 金利の低下、あるいは上昇の大きさ
  • 満期までの期間の長さ
  • クーポンの大きさ

によって異なります。

ただし、債券を満期まで保有すれば、期中の金利変動の影響はありません。

なお、金利は、期間の長さにより異なるので、金利の期間構造でとらえる必要があります。

したがって、価格変化の大きさも期間構造の変化で評価する必要があります。

確定拠出

確定拠出 ( defined contribution)とは、国際会計基準では、個人別に勘定が設けられ、当該勘定に払い込まれた掛け金と運用による増減や費用支払いの結果に基づいて給付額が計算される制度です。

英語の頭文字をとって、DCと呼ばれることが多いです。

確定拠出の掛け金額は、それぞれの制度における掛け金額の定義にもとづいて、決定または変更できる場合があるので、必ずしも事前に確定するものではありません。

確定拠出では、長生きリスクや積立金の運用リスクなどについて、雇用主である企業が追加的な掛金負担の制度的な義務を負わないという特徴があります。

買い建玉

買い建玉 (long account)とは、信用取引、先物、オプション取引、外為取引などで、買い付けはしているものの、決済が済んでいない取引、または残高のことです。

買い玉とも呼ばれます。

未決済の残高という意味では、買い残と同じことを表します。

例えば、先物取引で、100枚の買い注文を出して約定が成立した場合、後から決済のための100枚の売り約定が成立して残高が無くなる。

この100枚の売り約定が成立するまでは、買い建玉が残っていると言います。

この買い建玉が残っている間は、市場価格の変動により損益が発生します。

市場価格が低下して損が拡大すると、場合によっては買付け時に納めた証拠金では足りずに、追加証拠金を要求されることがあります。

関連用語

コンバージョンファクター

コンバージョンファクター (conversion factor)とは、債券先物取引において、売り方が決済時に現渡しを選択した場合に、受渡す現物債の数量を算出するための係数です。

日本語で、交換比率と呼びます。

具体的にいうと…

先物取引で売り建てた場合、決済方法として、

  • 反対売買: 売り建てた数量を買戻して決済する方法
  • 現渡し: 売り建てた数量に該当する現物を差し入れて決済する方法

の2つがあります。

債券先物取引で取引されるのは、長期国債先物ではクーポン6%、残存期間10年の架空の債券です。

したがって、現渡しでの決済をする場合、同じ条件の現物債を現渡しできる可能性は非常に低いです。

そのため現渡しをする場合、売り建てた債券先物の決済時の価値と現渡しする現物債の価値を同等にする作業が必要になります。

この作業のときに使われるのがコンバージョンファクターです。

コンバージョンファクターは、受渡適格銘柄のクーポン、残存期間などから算出されます。

その結果、受渡適格銘柄ごとに異なった変換係数が存在し、残存期間の関係上、毎日変化します。

グリーンシューオプション

グリーンシューオプション (green shoe option)とは、第三者割当増資の割当を受ける権利です。

主幹事証券会社は、オーバーアロットメントを行った場合、借入れた株券を返済するために、市場から当該株券を買い戻す場合があります。

これをシンジケートカバー取引と呼びます。

一方で、株価の動向によっては、主幹事証券会社がシンジケートカバー取引で損失被る場合があります。

主幹事証券会社は、このリスクを回避するために、あらかじめ発行企業や株式保有者から、当該株式などを取得する権利の付与を受けておくことがあります。

この権利のことをグリーンシューオプションと呼びます。

クローズエンド型投資信託

クローズエンド型投資信託 (closed-end investment trust)とは、一般的に、株式会社の形態を取り、投資家が途中解約ができない、あるいは制限があるタイプの投資信託のことです。

ユニット型投資信託とも呼ばれています。

メリットとデメリット

投資家のメリットは、株式を取得して株主となり、運用益を配当として受け取るとともに、株式の上昇益も期待できます。

投資家のデメリットは、途中解約ができない、あるいは制限があるため、投資資金を回収したい場合、株式を売却する必要があることです。

投資信託会社のメリットは、資金の流出リスクがないことによる、安定運用が可能という点です。

一方で、資金の途中追加可能かつ途中解約可能な投資信託を、オープンエンド型投資信託といいます。

クリーンサープラス関係

クリーンサープラス関係 (clean surplus relation)とは、配当支払いや増資などによる資本取引を調整した期中の株主資本の変動が当期純利益の金額に等しいという関係です。

資本取引を配当支払いのみと仮定したとき、計算式は次の通りです。

期末株主資本 = 期首株主資本 + 当期純利益 - 配当

クリーンサープラス関係の使用場面

クリーンサープラス関係が使用される場面は、

  • 株式の理論価格を計算するとき
  • 企業価値を評価するとき
  • 事業計画を作成するとき

が挙げられます。

クリーンサープラス関係は、株主評価の残余利益モデルの前提です。

また、企業価値評価や事業計画の作成などで、予測財務モデルを作成する際、損益計算書と貸借対照表が整合的であるかをチェックするときに使われます。

またクリーンサープラス関係が成立する会計を、クリーンサープラス会計と呼びます。