
企業研究レポート オプティム と エコモット の比較研究編
本企業研究レポートは、エコモットとオプティムの比較研究を行う。
両社ともIoT領域の新興企業だ。
具体的には、以下のような比較研究を行う。
本エントリでは、収益性の比較とビジネスモデルの分析を行う。
目次
企業研究 | エコモットとオプティムの収益性比較とビジネスモデル分析
本エントリでは、以下の2点を行う。
- エコモットとオプティムの収益性比較
- エコモットとオプティムのビジネスモデル分析
本エントリで使用する指標の計算式は以下の通り。
売上総利益率=売上総利益÷売上高
売上高営業利益率=営業利益÷売上高
エコモットとオプティムの収益性比較
エコモットとオプティムの収益性比較では、まず売上高、売上総利益、営業利益の推移を比較し、両者の規模を確認する。
次に、収益性指標である、売上総利益率、売上高営業利益率の推移を比較する。
【規模比較】売上高、売上総利益、営業利益の推移
エコモットの2019年3月期売上高は1,611,241千円。
2016年3月期から2019年3月期までの年平均成長率は29.67%。
オプティムの2019年3月期売上高は5,468,745千円だ。
2016年3月期から2019年3月期までの年平均成長率は27.79%。
売上高は両社とも右肩上がりだ。
エコモットの2019年3月期売上総利益は617,557千円だ。
2016年3月期から2019年3月期までの年平均成長率は20.69%。
オプティムの2019年3月期売上総利益は3,503,370千円だ。
2016年3月期から2019年3月期までの年平均成長率は17.31%。
エコモットの2019年3月期営業利益は24,928千円だ。
2016年3月期から2019年3月期までの年平均成長率は68.47%。
オプティムの2019年3月期営業利益は96,493千円だ。
2016年3月期から2019年3月期までの年平均成長率は-43.61%。
【収益性指標比較】売上総利益率、営業利益率の推移
エコモットの2019年3月期売上総利益率は38.33%だ。
オプティムの2019年3月期売上総利益率は64.06%だ。
両社とも緩やかな低下傾向にある。
エコモットの2019年3月期売上高営業利益率は1.55%だ。
オプティムの2019年3月期売上高営業利益率は1.76%だ。
エコモットとオプティムのビジネスモデル分析
エコモットとオプティムのビジネスモデルの分析では、まず、両社がIoT領域でどのようなビジネスを展開しているかを確認する。
次に、現状のビジネスモデルで、収益性向上の見込みがあるのかを分析する。
国内IoT市場の市場規模予想
IDC Japan株式会社によると、国内IoT市場は、2018年から2023年の年間平均成長率が13.3%と高い成長率が見込まれている。
2023年には11兆7,915億円に達すると予測されている。
エコモットのビジネスモデルと売上高予測
エコモットは、IoTインテグレーション事業の単一セグメントだ。
具体的には、IoT機材のレンタルサービスおよび顧客課題に沿ったシステム構築を行っている。
収益源は、機材のレンタル料、通信料やアプリケーション利用料だ。
料金システムは、信端末やトランザクション量の増加による従量課金制を採用しているとみられる。
収益面では、事業規模の拡大に伴い、売上高も拡大するモデルであると考えられる。
一方、費用面では、規模の拡大により、原価が高くなる可能性もある。
理由は、レンタル用機材などを予め保有する必要があること。
さらに、開発人員の人件費や通信コストなど原価に占める変動費の割合が高いことである。
以上のことから、エコモット売上高予測は下図の通りだ。
シナリオ1(青線)は、国内IoT市場規模と同じ成長率(13.3%)で推移した場合の予測だ。
シナリオ2(赤線)は、エコモットの2016年3月期から2019年3月期の実績年平均成長率(29.67%)で推移した場合の予測だ。
エコモットのビジネスモデルをみると、市場規模の拡大とともに成長するシナリオ1がより現実的と考えられる。
オプティムのビジネスモデルと売上高予測
オプティムの事業はSaaSモデルだ。
収益源は、ライセンス料とカスタマイズ料。
売上高の計算式は以下の通りだ。
売上高=ランセンス料×契約デバイス数
収益面では、エコモット同様に、事業規模の拡大に伴い、売上高も拡大するモデルであると考えられる。
一方、費用面では、売上高が一定規模を超えると原価が安定すると考えられる。
理由は、まず、オプティムの事業は、エコモットのように機材を保有している必要がない。
ソフトウェアの開発費用が回収できれば、その後メンテナンスに係る費用はあれども、原価は限りなくゼロに近くなる。
以上のことから、オプティムの売上高予測は下図の通りだ。
シナリオ1(青線)は、国内IoT市場規模と同じ成長率(13.3%)で推移した場合の予測だ。
シナリオ2(赤線)は、オプティムの2016年3月期から2019年3月期の実績年平均成長率(27.79%)で推移した場合の予測だ。
オプティムのビジネスモデルをみると、市場規模の拡大とともに成長するシナリオ1がより現実的と考えられる。
販管費内訳【販管費からみる企業のポテンシャル】
下図は、両社の、売上高に占める研究開発費の割合の推移だ。
オプティムは年々研究開発費の割合が増加している。
5Gの民間利用に向けて力を蓄えているという感じだろう。
一方のエコモットは、研究開発に力を入れているとは言い難い数値だ。
下図は、両社の、売上高に占める給与手当の割合だ。
エコモットの給与手当の割合がオプティムの約2倍だ。
エコモットの事業の方が、より人件費がかかる構造になっている。
将来の成長ポテンシャルとしては、オプティムの方が上のようだ。
まとめ
本エントリでは、エコモットとオプティムの収益性の比較とビジネスモデルの分析を行った。
収益性の比較では、売上総利益率は、オプティムの方が高かった。
理由は、事業構造の違いにあった。
オプティムが展開する事業は、SaaSモデルであり、開発費用さえ回収すれば原価がほぼかからないモデルであった。
一方、エコモットは、レンタル用機材の保有や、通信コストなどの要因による高原価構造だった。
次エントリでは、両者の資産効率性を比較する。