
総合商社ROA比較 企業研究レポート
このエントリは、総合商社5社のROAを比較した企業研究レポートだ。
具体的には、以下の点を比較、調査する。
- 各社のROAを比較する
- ROAの比較から見つけた疑問点を調べる
- ビジネスモデル分析と収益予想
本エントリでは、各社のROAを比較する。
目次
【ROAから始める企業研究】五大商社のROA比較【総合商社】
本企業研究レポートは、五大総合商社の比較研究を行う。
本レポートでいう五大総合商社とは、以下の5社を指す。
- 三菱商事株式会社
- 三井物産株式会社
- 丸紅株式会社
- 住友商事株式会社
- 伊藤忠商事株式会社
本エントリでは、各社のROAを比較し、疑問点を見つけて、整理する。
本エントリで使用する指標の計算式は以下の通り。
ROA=当期利益÷総資本=売上高事業利益率×総資本回転率
当期利益率=当期利益÷連結収益
総資本回転率=連結収益÷総資本
各社のROA比較
三菱商事のFY2018ROAは3.91%。
三井物産のFY2018ROAは3.61%。
丸紅のFY2018ROAは3.51%。
住友商事のFY2018ROAは4.27%。
伊藤忠商事のFY2018ROAは5.40%。
ROAの図表を見ると、気になる点が3つある。
- 三菱商事と三井物産のROAは、FY2015でマイナスに転落し、その後上昇している。
- 住友商事のROAはFY2014でマイナスだったが、その後は毎期上昇で推移している。
- 伊藤忠商事のROAは、直近5期、総合商社5社の中で一番良い数値を維持している。
続いて、ROAを、当期利益率と総資本回転率に分解し、比較する。
当期利益率の比較
三菱商事のFY2018当期利益率は4.01%。
三井物産のFY2018当期利益率は6.21%。
丸紅のFY2018当期利益率は3.23%。
住友商事のFY2018当期利益率は6.33%。
伊藤忠商事のFY2018当期利益率は4.70%。
各社の当期利益率の推移をみると、FY2015の三菱商事と三井物産の当期利益率がマイナスだ。
両社のFY2015ROAがマイナスに転落した要因は、当期利益率の下落であることが分かる。
また、三菱商事と三井物産、伊藤忠商事のFY2018当期利益率がガクッと下がっている。
これは「新会計基準(IFRS第15号)適用の影響」による収益の増加が要因だ。
当期利益率の推移比較を見ると気になる点は以下の通りだ。
- 三菱商事と三井物産のFY2015当期利益率はなぜマイナスになったのか。
- 住友商事と丸紅の当期利益率はなぜ上昇傾向なのか。
総資本回転率の比較
三菱商事のFY2018総資本回転率は97.40%。
三井物産のFY2018総資本回転率は58.24%。
丸紅のFY2018総資本回転率は108.70%。
住友商事のFY2018総資本回転率は67.44%。
伊藤忠商事のFY2018総資本回転率は114.87%。
三菱商事と三井物産、伊藤忠商事のFY2018総資本回転率がドッと上がっている。
これも先述のとおり、「新会計基準(IFRS第15号)適用の影響」による収益の増加が要因だ。
また、住友商事の総資本回転率がFY2014から上昇を続けている。
先述の当期利益率でも住友商事は上昇傾向になる。
したがって、住友商事のROAが毎期上昇で推移しているのは、当期利益率と総資本回転率の両方が上昇しているからだ。
総資本回転率の推移比較を見ると気になる点は以下の通りだ。
- なぜ丸紅一社だけが総資本回転率100%を上回っているのか。
- 住友商事の総資本回転率が上昇し続けている理由は何なのか。
【気になる点の整理】ROAの比較から見つけた気になる点
- 伊藤忠商事のROAが、直近5期、総合商社5社の中で一番良い数値を維持している理由は何なのか。
- 三菱商事と三井物産のFY2015当期利益率はなぜマイナスになったのか。
- 住友商事と丸紅の当期利益率はなぜ上昇傾向なのか。
- 住友商事の総資本回転率が上昇し続けている理由は何なのか。
- なぜ丸紅一社だけが総資本回転率100%を上回っているのか。
まとめ
本エントリでは、総合商社5社のROAの推移、当期利益率の推移、総資本回転率の推移を比較し、気になる点を列挙した。
次エントリでは、これらの気になる点を調べていく。